三月から五月
ミズバショウ 三月下旬帯広市内にて
「夏の思い出」の中で ♪水芭蕉の花が咲いている・・・♪
の一節があります。そのせいか夏の花と思われがちですが、早春の花です。
夏になると、清楚な花からは想像もつかないような巨大な葉が生い茂ります。
花に見える白い部分は「苞」(ほう)といい、ガクのようなものです。花は中の黄色い部分です。
フクジュソウ
十勝では三月の終わり頃に咲き始めます。その頃、年によってはまだ雪も残っていることがありますが、ムクムクと芽を上げ、花を咲かせます。
まだ寒い季節なので、普通では花粉の媒介は期待できません。そこで太陽に向かってパラボラ状の花を向け、花の中央部の温度を上げることによって虫を呼び、花粉を運んでもらっています。
陽が当たると花を開き、陰ると花を閉じます。六月には地上部はなくなり、また来年の春まで休眠します。たった二ヶ月ほどの草です。
エゾキスミレ 四月初旬 庭にて
今年はなぜか早く咲きました。
数年前に入手して、毎年黄色い花を楽しんでいます。どんどん株が増えて、一部はロックガーデンをはみ出してしまったほどです。
まるで作ったような花びらとその柄、自然の造形の妙を感じます。
ヒメイチゲ
イチゲの仲間はいろいろありますが、これは名の通り小さいイチゲです。花の大きさは1cmもありません。
種を採って来て、実生から育てましたが、なかなかの難物で、ちょっと環境が合わないと即死します。試行錯誤を繰り返し、ミズゴケ植えが良いとの結論を得ました。
生きたミズゴケを栽培し、そこに植えると絶好調です。毎年可憐な花を咲かせてくれます。
エゾエンゴサク 四月中旬 庭にて
白花のエゾエンゴサクです。エゾエンゴサクはフクジュソウ、カタクリ等とともにスプリングエフェメラと称される、早春の花々の一種です。六月になればもう地上部はなくなり、咲いていたことをも忘れてしまいます。
しかし、毎年同じ所に芽を出し、まだ寒い中で咲くエゾエンゴサクは春の訪れを知らせてくれるうれしい花です。
たいていは薄い青をしていますが、株によっては紫、白もあります。この株も咲き始めは白ですが、花の終わりには薄い青が出てきます。
これもスプリングエフェメラのひとつです。
釣り場に行く途中の畑の土手に生えていました。持ち主の農家の方に断って一株いただきました。それを庭に植えて楽しんでいます。
早春、他に緑もないうちに黒い土の中からポッコリと芽を出し、さっさと花を咲かせます。年々株が大きくなり、花の数も増えています。
カタクリ 五月初旬 日高山脈にて
カタクリは低地では三月下旬から四月上旬に咲きます。
しかし、これを撮影した所は日高山脈の中で、少々高度があります。毎年ゴールデンウィークの頃まで雪が残り、簡単に入れない所です。
この場所では、いつもゴールデンウィークの頃にぼつぼつ咲き始めますが、今年は暖かかったので、ずいぶん早く咲いていました。透明感のある写真に仕上げたかったので、バックを探すのに、這いずり回って撮影しました。
ヒダカソウ 五月初旬 庭にて
アポイ岳のヒダカソウです。毎年早春に白い花を見せてくれます。
ご覧のように岩を組み、出来たポケットに培養土を入れて栽培しています。鉢で栽培すると水の管理が大変で、手が回らないことがあるので、こういう風に栽培しています。カンカン照りにならない限り、水をやる必要がないので、楽に管理できます。
ただ、鉢栽培と違って簡単に移動することが出来ないので、最初に植えつける所をしっかり考えないといけません。今、この株はこの場所があっているようで、機嫌よく育っています。
チョウノスケソウ 五月中旬 庭にて
須川長之助にちなんで名づけられた植物です。
ご覧のようにバラ科の植物で、花も秀逸ですが、種も面白い形をしています。
知り合いに株を分けてもらい育てていますが、どんどん増えて岩を乗り越えてしまったので切り詰めました。それでも、今年の秋にはまた元のサイズに戻るのでは・・・。
ハナシノブ 五月下旬 庭にて
「ん・・・この葉は見たことがあるぞ・・・」 十年ほど前に自宅の庭に生えてきた植物を見て、心あたりがありました。育ててみると、思ったとおりハナシノブでした。エゾ、クシロ、ヒダカ、カラフトの四種類が考えられますが、どれやらさっぱり判りません。
十勝では、釣りで川原道を走っているとよく見られる植物です。葉の形、花の形、花の色あい等、どれをとっても美しく、女性的な花です。
すっかり大株になりましたが、それはそれで別の良さがあります。今までロックガーデンの縁に植えてありましたが、あまりに大きくなったので、今年はオンコの下に移しました。木漏れ日の中で咲くハナシノブは別格の美しさです。
花びらの先端が緑色の小さな花を着けます。
花もなかなかのものですが、この植物は実が楽しめます。
真っ赤な大きな実を着け、その重さで倒れるほどです。だから、実の生る時期になると支えてやらなければなりません。
エゾイソツツジ 五月下旬 庭にて
エゾイソツツジ、もう何年持ち込んだか忘れました。
毎年、小さな花の群れを着け、球形のきれいな形を見せてくれます。しかし、少々枝が間延びしてしまいました。花後に切り詰めて、姿を作り直してやろうと思っています。切った枝は挿し木にして殖やし、別の場所に植えて楽しむ予定です。
旭岳五合目で見たエゾイソツツジはゴルフボールほどでした。しかし、下界で栽培するとテニスボールほどに育ってしまいます。
チシマギキョウ 五月下旬 庭にて
高山植物のジャンルに入る植物は、寒さに対する備えがしっかり出来ています。
このチシマギキョウもしっかり毛が生えています。
イワギキョウに似ていますが、横向きに咲くこと、花弁に毛が多いことなどで判別できます。
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